6m下田市婆娑羅山移動



・場所: 婆娑羅山山頂(標高608m)
・運用日: 1999年4月18日(日)
・運用者: JR1EMM、JR1OBC、7L4UQF(ゲスト参加)
・設備: FT-690+自作リニアアンプ(Output約30Wpep)
3eleデルタループ(6mh)

1.当日の運用結果

 17日(土)夜、横浜市某所に集合。

 いつもはJR1EMM駒田さんと私JR1OBCの2人なのだが、今回は、7L4UQF外海さんがゲスト参加。

 翌日の天気予報は雨だが、「行くだけ行ってみよう」と言う意見でまとまり、いつも通り、東名−小田原厚木−135号を通って、一路下田へ。
途中のコンビニで翌日の食料ほかを調達。下田の周辺にもコンビニは何軒もあるけど、深夜営業している店がなく、泣く泣く熱川の辺りまで戻ったという苦い経験がある。

 しかし、一年ぶりに来てみると、なんと、みんなやってる。うれしい誤算でした。

 午前2時頃、婆娑羅トンネル西側の登山口、(と、自分だけで呼んでいる)に到着。
2時間ほど仮眠して起きてみると、曇ってはいるけど雨は降っていない。でも、予報は確実に雨。少し迷った末に、「行っちゃえ。」で、5時20分、登り始める。「オイオイ、この中に雨男いるんじゃないだろうな」と、心の中でぶつぶつ。

 体力の衰えと睡眠不足のため(いつものことだが)バテ気味で、6時50分山頂着。まだ雨は何とか持ちこたえている。
アンテナとテントを設営する。雨の時は移動運用しないことにしているので、いつもはテントを持ってこないのだが、今回は雨に備えて、7L4UQFの1人用テントを張る。

 実は、私がダンロップテントを持ってくるのを忘れた。

 1人用のテントに3人がもぐり込むと、さすがに窮屈。JR1EMMは、すかさずビールをあおった後、爆睡体制に突入してしまった。
なんだかんだで、QRV始めたのは8時近くになってから。 オペレートは、私と7L4UQFがほぼ1時間毎に交代で行った。

 いつの間にか雨がポツポツと降り出し、気が付いたら本降りになっていた。狭いながらもテントが有って良かった。

 天気が悪いせいか移動局も少なく、バンドの中も心なしか閑散としている。主に西方向にアンテナを向けてCQを出していたが、コンディションもイマイチで、思ったようにペースが上がらない。

 時々固まって呼ばれるが、CQの空振りが多い。 SWR計を見ると、完全にレッドゾーンに飛び込んでいる。
婆娑羅山スペシャルVer.2」(後述)は、やっぱり雨には向かなかったようです。
午後2時くらいまでは運用の予定だったのですが、昼を回った頃、そろそろ潮時と判断して、撤収を決断。

 結局、QSO数は5時間弱の運用で91局と、ちょっと少な目の結果に終わりました。


 エリア別の内訳は次の通りです。(モードは全てSSB)
エリア: φ 合計
QSO: 54 14 - - - - 91


 テンントの中でできるだけのパッキングを済ませておき、意を決してテントを出て、雨の中でアンテナとテントを撤収し、下山にかかりました。

 雨とガスで視界が悪かったため、途中でルートを見失ってしまい、下山に1時間以上かかってしまいました。

 下山後の恒例により、婆娑羅トンネルの東側にある「マンダラ」に寄って一息入れた後、帰りは天城峠−修善寺−三島を経由して東名高速を通り帰着しました。

 2.下田市の移動ポイント(なぜ婆娑羅山なの?)

 静岡県下田市は、伊豆半島の先端近くの南東部で、北(1エリア、7エリア方向)と西(2エリア、3エリア方向)は山に、東と南(なにもない方向)は海に囲まれていると言う地理的条件から、静岡県の中では比較的要求度の高い市のようです。

 行くのにも結構時間かかるしなあ。 飛ばすのが難しいとなると、「やってやろうじゃん」と言う気が起きるもんで、下田で移動運用しようって人は、皆さん色々研究していて、それぞれの移動ポイントにそれなりのこだわりを持っているみたいです。(実は私も)

 車から運用できて、有名なところは:

・ 寝姿山(林道):昔から有名なポイントですね。市街地からすぐのところです。
北方向は、文句なくここでしょう。場所を選ぶと西の方にも?

・ 爪木崎:北向けの完全な海上伝搬用(QSBが激しいみたい)。スキャッタならここで充分。

・ 大鍋越:下田市と加茂郡河津町/松崎町との境にある峠で、西方向だけ山の切れ間にルートがある。三重のビーコンはよく聞こえるが、北西間近にある長九郎山に真西から北にかけてブロックされている。
雨の時は、林道走行要注意。下田市の西の堺は山が連なっており、唯一車で上がれるのがここだが、あくまで山に囲まれた峠のため、スコーンと飛んでいく感じではない。

 ここで婆娑羅山の登場です。

 グランドウェーブで西方向に飛ばそうと思うと、下田市の西側の堺の山の上に登るのが確実なわけで、その代表が婆娑羅山です。しかし、道路がないので歩いて登るしかありません。

 山頂も樹林帯(杉の植林)のため周りの景色を見ることはできないのですが、地形図から判断すると駿河湾がきれいに見渡せるはずです。

 静岡県内(当たり前か)から愛知県そして三重県にかけては、ほぼ見通し状態で、強力です。

 貧弱な設備でも大阪、兵庫辺りまでは飛びます。コンディションの上下はありますが毎回4,5及び9エリアの局とも何局かは、グランドウェーブでQSOできています。

 ここの持ち味は、西方向のグランドウェーブです。北方面は、東京・千葉がいいとこで、埼玉以北は移動局相手でないと難しく、とても寝姿山にはかないません。北は、寝姿山におまかせします。

 この山はきちんとした登山道が整備されていませんが、婆娑羅トンネルの西側から取り付くルートが一応ありますので、登ってみたいという方はご連絡下さい。一般的に登山の対象になっていないので、非常に静かな山です。ただし、眺めが全くないので面白くありません。過去に7回登りましたが、1回も他のパーティに遭遇したことはありません。

3. 運用設備

 私が、山岳移動運用で主に使っている設備を、簡単に紹介します。

(1) リグ
FT−690と自作のリニアアンプを使っています。

 FT−690は、数年前に中古で手に入れたものです。 SSBとCWだけなら、ほんとはマーク2の付いてる方のが良いんですが、どうしてもAMが出ないと嫌なもんで。

 リニアの方は、専用リニアFL−6010のケースに、JS1MLQ川田さんが発表している回路に少し手を加えたものを入れたものです。
SSBなら問題ないのですが、リニアのヒートシンクが小さいためAMでのフルパワーの長時間の送信はNGです。

(2)アンテナ「婆娑羅山スペシャルVer.2」
3エレのデルタループです。
重さ990gの軽量タイプで、畳んだ状態の長さが約70cmですから、ザックの上にくくりつけられます。

 エレメントは、6〜9φ(肉厚0.5mm)のアルミパイプ+ゴムとワイヤーによる差込式で、ブームへの固定も差し込むだけです。 ブームはアルミの角パイプ3分割のこれも差込式です。

組立には工具を使わず、ネジ止めもマッチングセクションとマストクランプで合計3カ所の蝶ネジのみです。
 (これだけの説明じゃ分かり難いだろうなあ)

 ブーム長は約1.7mのナロースペースで、シミュレーションによるゲインは8dbd弱有るのですが、ホントのとこは、?です。雨の時は運用しないと言う前提で、全く防水を考慮せずに作ったためか、どうも雨の中では調子が良くありません。

 でも、なぜデルタループなのか?
婆娑羅山の山頂は樹林帯で、アンテナをたてる空間があまりないため、八木系のアンテナでは、エレメントが木の枝に引っかかって、回すことができません。
そこで回転半径の小さいループ系の中から、特に構造が単純で組立が簡単なデルタループに落ち着きました。

 他の充分スペースのある山では、多エレメントの八木アンテナの方が良いのでしょうが、新たなアンテナを作るのが面倒なため、山の移動運用の時は、いつもこのアンテナを使っています。

 マストは、市販のアルミの伸縮ポールを改造した、最長約6mのものを使ってます。

上がったデルタループ 確認中!           

DE JR1OBC 富岡